轻松读懂日语经典作品
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おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
「キング増刊号」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,158 字 · 26 页
「浅ましい仕事だって?――ふん」
湯上りの肌へ、自信たっぷりに白粉を刷きながら、お紋は冷笑して云った。
「たいそう立派な口をお利きだねえ正さん。労咳病みの薬料から其の日其の日のお飯、いったい誰のお蔭で口へ入るのかおまえ知っておいでかえ」
「――知っていたらどうするんだ」
「そんな偉そうな口は利けまいと云うのさ、猫だって三日飼われた恩は忘れないよ」
「お紋! てめえ……」
正吉は思わず、長火鉢の猫板の上から湯呑を取上げた。
「てめえ、それを本気で云うのか」
「売り言葉に買い言葉、お互いさ」
「――畜生!」
正吉は身を震わして叫んだ。
「よくもそんなことをぬかしゃあがった、この己を、こんな態にしたなあ誰だ、素っ堅気のお店者、これっぽっちも世間の汚れを知らなかった者を、騙し放題に騙しゃあがって、大恩ある主人の金を持ち逃げさせ、一生浮かぶ瀬のねえ泥沼へ引きずり込んだなあ誰だ! こんな労咳病みの体にしたなあ誰なんだ」
「今更なんだね未練がましい、誰のせいなもんか、おまえが好きで墜ちた穴じゃないか、厭がるおまえの首へ繩をかけて曳いて来た訳じゃないよ」
「畜生※(感嘆符二つ、1-8-75) 売女※(感嘆符二つ、1-8-75)」