轻松读懂日语经典作品
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おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
「キング増刊号」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,158 字 · 26 页
お綱の婿にと、すっかり段取りを定めていた茂兵衛はひどく怒った。お美津は直ぐに根岸の寮へやられ、正吉は懲しめのため、一年間小僧と同じ走り使いに落とされた。――この小さな食い違いが正吉の運命を捻曲げる因であった、そしてすっかり自棄になっているところへお紋が現われた。お紋は筑紫屋の裏に薗八節の師匠という看板をかけ、内実はいかがわしい商売をしている女だったが、早くから正吉の美貌に眼をつけていて、彼が自棄になっているところをうまうまと自分の物にした、正吉は遂に五十両という店の金を持出してお紋と逃げた。……それ以来五年、闇から闇を渡るどん底暮しに、押借、強請、美人局と、あらゆる無頼の味を嘗めた、そして飽くことを知らぬ女の情慾のために、今では治る望みもない労咳を病む身となっている――。
――罰だ、罰だ。みんな旦那様やお美津ちゃんの罰が当ったんだ。
正吉は身悶えをして呻いた。
「いい態だ、いい態だ、罰当たりめ、こうなるのが己にはふさわしいんだ」
「正さん、――正さん」
お紋はその有様を冷やかに見ていたが、やがて宥めるような調子で側へ寄った。
「厭ねえ正さん、何もそんなにむきになる事はないじゃないの、――あたしも少し云い過ぎたけど、おまえだって酷いよ。