轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
「然う/\、あれは他に類がないね」
「全く此処ばかりでございます」
「下関中のが皆参詣に出るのかね?」
とお父さんが訊いた。
「否、たった五人です。一番の流行児が選ばれて此処まで練って来るのです。斯ういう具合に若い衆が後方から日傘を翳しかけましてな。綺麗な禿が供をしましてな。何しろ一人の衣裳が何千円というのですから、見答えがありますよ」
「花魁道中見たいなものだね?」
「否、そんなものじゃございません。矢っ張り女郎の参拝です。生き残った平家の女子達が今の稲荷町の基を開いたというので昔からの為来りです」
間もなく町を通り抜けて壇浦へ出た。海があるばかりで、他には何もない。
「此処こそ些っとも変らないね」
と団さんは安心して言うことが出来た。
「何もございませんが、これが御裳川です」
と団さんの車屋が、溝ぐらいの小川を指さした。
「成程」
「旦那は平家の一杯水の謂われを御存知でしょうな」
「さあね、聞いたような気もするが、長らく洋行していたもんだから、日本のことは箸の持ち方まで忘れてしまったよ」
「この川と海の境際に井戸がありまして、其処で平家の旦那方が末期の水を一杯宛召し上ったのだそうでございます。