轻松读懂日语经典作品
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
「週刊朝日別冊陽春特別読物号」朝日新聞社、1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,377 字 · 45 页
「それぁ、そのくらいのことはね、親方」と喜助はあいそ笑いをした、「ま一つ、お酌しましょう」
重吉は盃をみつめた。
「あの二人からみれば、おれなんぞはぶまで、どじで、気のきかねえ唐変木にみえるだろう、けれどもおれはおれだ、女房にゃあ済まねえが、おらあ職人の意地だけは守りてえ、自分をだまくらかして、ただ金のためにするような仕事はおれにゃあできねえ」重吉はまたぐらっと頭を垂れた、「――それを、あの金六町はいやあがった。新助のやつはいやあがった。火鉢は火鉢だって、ひばちは、ひばち……」
そして重吉は泣きだした。終りの言葉はつきあげる嗚咽に消され、垂れた頭が上下に、うなずくように揺れた。喜助は当惑し、なにか云おうとしたが、いそいで三杯、手酌であおった。
「おらあ、くやしかった」と重吉は盃を持ったままの手で、眼のまわりを拭いた、「向うが向うだからしようがねえ、向うはもう職人じゃねえんだから、職人の足を洗った人間に職人の意地を云ってもしようがねえ、おらあ、黙ってた、黙ってたが、くやしかったぜ、わかるか」
「わかりますとも、よくわかりますよ」
「おめえはいい人間だ」と重吉は眼をあげて相手を見た、「――誰だっけ」