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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
大阪圭吉『とむらい機関車』。同一底本的分册已合并为一书。收入:とむらい機関車、死の快走船、気狂い機関車、闖入者、三狂人、白妖、あやつり裁判、銀座幽霊、動かぬ鯨群、寒の夜晴れ、坑鬼。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 页
私達が崖道を半分ほども登った時に、深谷家の女中が馳け下りて来て、仕度が出来たから昼食を認めるよう申出た。
ところが東屋氏は、早速彼女をとらえて短刀直入式に質問を始めた。
「こちらの御主人は、いつも夜中に海へ出て、いったい何をされるんですか?」
「さあ……」
と彼女は驚いたように眼を瞠りながら、
「でも、夜中にヨットへお乗りになるのは、キャプテンの御趣味なんですもの……」
「随分変った趣味ですね……貴女も、お供をしたことがありますか?」
「ええ、暫く以前のことですが、一度ございます……綺麗な、お月夜でございました」
「ただこう、海の上を帆走り廻るだけですか?」
「ええ。でも素晴らしい帆走ですわ」
「お月様でも出ていればね」
と東屋氏は話題を変えて、「時に、昨日の夕方、他所からのお客さんはありませんでしたか?」
「夕方ですか? ええございませんでした」
「黒塚さんは?」
「あの方は九時過ぎでした」
「電話は?」
「電話? ええ、掛りません。あの電話は、殆んど飾りでございますわ」
「昨夜御主人は、なにを心配して見えたんですか?」
「え?……さあ、少しも存じません。なんでも大変、お顔の色は悪うございましたが――」