轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

「小説新潮」新潮社、1966(昭和41)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,120 字 · 58 页

青空文庫

「沢茂」は日本橋小網町にあり、木内という男は昏れかけた街を新堀のほうへあるいていた。道には往来する人が多く、房二郎の声に振り返る者もいた。

「なんだおめえは」と木内はおちくぼんだ眼で房二郎の全身を見あげ見おろした、「――おう、おめえ沢茂で会ったっけ」

「まあ、あるきましょう」と房二郎は男の背に手を掛けて云った、「人立ちがしますからね」

「なんの用だ」

「おつまさんの云うようなことはよしにしましょうや、親方」

「馴れ馴れしいやつだな、いってえおめえは誰だ」

「名は房二郎、房って呼んでくれればいい」と彼は云った、「いまの店のお芝居は面白かった、たっぷり見せてもらったぜ、親方」

「芝居たあなんのこった」

「あるこう」と房二郎が云った、「馬喰町とは方角が違うんじゃねえかな、親方」

「いちいち親方、親方って云うなよ、なにが云いてえんだ」

「まあそうせきなさんな、おらあおめえを他人とは思えなくなった、これからよろしく頼むぜ」

「なにをよろしく頼むんだ」

「とぼけなさんな、いまの沢茂のくちさ」房二郎は低く笑った、「瓦版屋で小料理飲み屋の番付を作る、そのために評判のいい店をためしに廻ってる、なんざあ泣かせるせりふだぜ、だがなあ親方、刺身がかなっ臭えなんていうところは瓦版屋じゃあねえな、おまえさんはどこか歴とした料理屋の板前だろう」