轻松读懂日语经典作品
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めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页
――それではなぜ可哀そうだなどといったのだろうか。
信乃はそこで躓き、そのたびにやはり一種のぞっとした気持におそわれるのであった。
「今日は夕刻から客がある、酒の支度をしておいて呉れ」
良人が或る朝こう云った。
「お客さまはお幾人くらいでございますか」
「三人か四人、それより多くなることはない、しかし、……そこは適当にしておけ」
「御祝儀でございますか、それとも……」
祝儀と不祝儀では支度が違う、それでそうきいたのであるが、良平はふきげんな眼で咎めるようにこちらを見、それから黙ったまま出ていった。
折悪しく甲之助が熱をだした。良人が出仕すると間もなく、乳母のすぎが知らせて来て、それから医者を呼んだり、手当をしたり、午後までなにをする暇もなかった。甲之助は三つになるが、良人の主張で生れるとすぐから乳母の手に任せられ、信乃は殆んど世話をしてやったことがない。
――女親はあまく育てるからいけない。
良平はこう云うのであるが、それは妻を自分にひきつけて置きたいのと、自分の子を乳母に育てさせるという虚栄心のためのようであった。彼は五十石足らずの組頭の家に生れ、ずいぶん貧しい生活をしたらしい。