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イデオロギーのろんりがく
イデオロギーの論理学
戸坂 潤
「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页
歴史的運動の状態は、客観的事実は、恰も没落的契機に於てあるものの没落を告げている。そこでこの契機に於て取られる政策は、事実をありのままに正直に捉えるのであっては、それ自身が無政策を意味することとなる外はない。それ故茲ではもはや、正直が最上の政策ではあり得ない。政策はただ事実を歪曲してのみ政策であることが出来るのである。今、この低劣な意味に於ける政策を必要とするような契機に於てある歴史的状勢は、この契機に於て成立する理論の内容へ、一定形態の虚偽として反映されるであろう。夫はこうである。理論は一般に所期の結論を先取する――前を見よ。理論のこの特色は必ずしも事実歪曲を生命とする限りの政策にのみ固有なのではない、それは一般に政策と呼ばれるものを通じて最も著しい特色である。処が今の場合の所謂政策に於ては、元来それが事実を歪曲していたのであったから、所期の結論が事実のために絶えず裏切られ勝ちなのは当然であろう。そこでこの裏切を封じて所期の結論――それが実は事実の歪曲でしかなかった――を固執し得るためには、理論は様々の人工的又は慣性的不自然――事物の特色に対する不自然――を敢て犯さなければならなくなる。