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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

)。次に例えば一人の仏徒が頓悟徹底出来たとしよう。その時初めて彼は何故この出来事が自分に於て必然でなければならぬかを推理し始めるであろう。科学者が一つの発見を目論見るならば、その発見へ導くべき恐らく無数の推論が予め構想されるであろう。又政治家は自己の失敗又は野心をば尤もらしい推理を考え出すことによって正当づけようと企てる。扇動家は民衆に向って一定の効果を収めるために、巧言令辞を並べて推理する。民衆がもし彼の言葉と共に推理することが出来たならば彼は所謂雄弁家――修辞家――となるのである。このようにして一般に、感情の論理は、予め与えられたる結論を正当づけるということをその特色とする。そこに支配するものはこの意味に於て先入見に外ならない、そうリボーは付け加える。

さて一定の先入見を意識していることと、その先入見を虚偽として意識していることとは無論全く別である。それ故所謂感情の論理に於ては、一方に於て、無意識的虚偽が這入る余地がないと云うことにはならぬし、そして又他方に於て、先入見を有つという理由によって感情の論理が直ちに無意識的虚偽の論理であるということにもならない。