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イデオロギーのろんりがく
イデオロギーの論理学
戸坂 潤
「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页
であるからこの社会に於て存在する社会的論理は、理想としては無限に漸近線的に、個人的論理に近づいて行かなければならない当為を負わされている。真の論理は個人的論理である。社会的論理は、それ自身虚偽の論理と考えられねばならない。かくて個人的論理に組織的に一定形態の虚偽を与えること自身が社会的論理という言葉の意味となって来る。社会の本質は個人的論理に社会論理的という一定形態の虚偽を原則的に与える処に、恰も成り立つのであった。タルドの思想を手懸りにすれば吾々は茲に来る。
* La logique sociale, p. 63 参照。
吾々が現在有っている社会概念によれば、タルドの社会概念を多くの重大な点で修正しなければならない必要を、吾々は感じる。今は他の点を顧ないとして、少くともタルドによれば、社会は初めから否定されるべき運命に於て問題として選ばれていることを注意しよう。タルドの社会概念は結局社会概念自身の否定でしかない。社会とは云わばアダムとイブとが楽園を失った瞬間に発生した処の、堕落した存在なのである。吾々は何時かこの人間社会から救済されて神の都に這入ることの出来る日を待たねばならぬことになるであろう。