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イデオロギーのろんりがく
イデオロギーの論理学
戸坂 潤
「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页
処が時代は一定の法則を以て不断に推移して行くから、或る任意の過去又は未来にあるのが適切であるような真理も、現在に於ては一つの虚偽であることが出来、そして又現在に於て真理と考えられたものも、もし人々が之を或る一定の未来に於てそのまま固執しようとするならば、未来のその時期に於て夫は虚偽となるであろう。真理は、歴史的運動によって虚偽となることが出来るのである――前を見よ*。
* 観念が歴史的現実――現在――を踏み越えた場合の虚偽の形態をユートピアと呼び、之に反対な場合の虚偽形態を、(悪き意味に於ける)イデオロギーと名づけることが出来る。
時代から離れた真理の、歴史的存在と喰い違った観念の、有つこのような虚偽形態を、吾々は一般に時代錯誤と呼んでいる。之によって社会の歴史的運動の必然性は忘れられ、又は見誤られる*。――さてこの時代錯誤こそ、論理に於ける無意識的虚偽の代表的虚偽形態であるだろう。だが之はなぜ無意識なのか。
* 事物の単なる流行と、その事物の歴史的使命とを混同するものは、今日吾々が好く見る一つの時代錯誤である。時代錯誤的人物は、歴史的使命をもつ或る現象を、単なる流行として片づけようと欲する。