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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

そこでは歴史上、従来の理論内容を優越して特権を主張する根拠となり得るような、従来無かった新しい地盤は、原理的には――偶然的にはどうか知らない――無い。先人の業績を、それが過去のものであるが故に、夫を批判し得るような、そのような資格を有った新しい立脚地は原理的には無いのである。新しい時代の性格に立脚することによって、自然科学を新しく建設し直すべき動機が、常に必ず働かねばならぬということは、絶対にない。かくして伝習された従来の自然科学を、改めて批判・検討し、依って之を否定・止揚し得るような場合は、ただ極めて偶然な事情に基くのであり、従って至極稀な機会をしか持たないことは当然である。既成の自然科学の現在に於ける否定・止揚が困難なものと思われる所以が茲にある。

自然科学のこの超歴史性は、その方法機関に現われる。歴史的科学の唯一の科学的機関である分析的方法は歴史的事物に関する分析であるばかりでなく、同時にそれ自身が歴史的段階と相関的に、歴史上発展する性質をもつ。之に反して自然科学の機関である実験と解析的操作は、人間的行為の――従って歴史の――除外を齎す最も確実な手続きであるであろう。