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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

大衆という言葉が現代に至って初めて重大さを持って来たその言葉の意味に於ける大衆はそうなのである。

* 大衆は併し群衆とか公衆とかいう集団では無論ない(群衆と公衆との区別に就いてはタルドの※(始め二重山括弧、1-1-52)L'opinion et la foule※(終わり二重山括弧、1-1-53)を見よ)。蓋し大衆とは政治的概念であって、このような社会学的概念にはぞくさない。――社会学的とは、主として、歴史的・実践的・従って又政治的・原理――単に歴史的事実ではない――の排除を意味する。

大衆は政治的概念だと言った。そこで政治の技術に関する一つの概念として人々は多数の概念を有つであろう。実際、大衆は多衆の概念に引き合わされるのを常とする。

単純に少数なるものは到底大衆ではあり得ないように見える。その限り、大衆は或る意味に於ける多衆でなければならないようである。多衆とは無論一つの量的規定ではあるが、之は併し実際は、比較上の多少・程度の差を云い表わすものではなくして、ただそれの大量性が、そのものの質を固有に決定する時にのみ、初めて多衆は所謂多衆となることが出来る。