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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

多衆としての多衆、単なる・抽象的なる多衆、多衆一般、何等の条件をも有たない多衆、例えばそれが有産者の多衆であろうが無産者の多衆であろうがそのような二次以下の条件を特に超越した限りの多衆自体、このような民主主義的多衆概念は、恰も今指摘した強力と低質とを、その二重性として、矛盾として、持っている。かかる民主主義的矛盾はみずからを、民主主義と貴族主義との、相対主義的・シーソー的対立として反映するのがその報いであるであろう。――今もしこのような多衆概念を以て大衆の概念に代えるならば、その時の大衆概念は恰も、最初に述べた処のかの非大衆的大衆概念であったであろう。彼処に於て見られた大衆概念に於ける矛盾は、とりも直さず茲で見られる多衆概念に於ける矛盾――圧倒性と低質性――であったのである。それ故、大衆は単なる多衆ではあり得ないことが今や明らかとなった。

民主主義的なこの多衆概念の自己矛盾は、ただ、圧倒性の止揚の方向、又は低質性の止揚の方向、の何れか、を通じてのみ止揚されることが出来る筈である。多衆が有った圧倒性が否定されるのは、そして、ただ多衆が積極的に無組織化される時に限るであろう。