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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

かくて人々はその所謂常識を豊富にすることが出来るわけである(報道化はであるから、一つの啓蒙ではあるが、もはや教育的啓蒙ではない)。――だが明らかにこの報道化は大衆化であることは出来ない。何となれば素人達の集団は専門家達の集団と対等であるとは云っても、之を優越する機能はない、素人達は専ら専門家達の与える材料を取捨選択は出来ても、専門家達の業績の科学的価値――真偽――に容嘴することは出来ないだろう、から。処が大衆は凡ゆる意味に於て優越なる、従って科学的真理の判定に於ても亦優越なる、集団である筈であった。素人は大衆ではない、報道化は、であるから大衆化である理由がない。

第三。常識性の概念は吾々を、実際化の概念へ導いて行くかも知れない。科学的研究の主体として、もし人々がプラグマとしての事物を選ぶならば、それが科学の実際化ということである*(之を実際生活に関する啓蒙と呼んでもよい)。前の報道化に於ては、科学の一定内容を取捨選択するものは常識の水準であるには相違なかったが、併しなお科学は、それよりも先に、それとは関係なく、それ自身の内容を選択する権利を保留することが出来た。