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イデオロギーのろんりがく
イデオロギーの論理学
戸坂 潤
「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页
カントを超越する(独創的である)ことは要するにカントを理解する(カント的問題を伝承する)ことに外ならなかった。この点に於て突発的問題では到底ないと云うのである。さて突発的問題から既成的問題へのこの転化を、転化として、即ち異った二項の間の一定の関係として、意識せしめる媒介は、恰もカント的立場でなければならなかった。かくてカント学派的問題――それは既成的問題の代表者であった――はカント的立場から動機づけられる。故に一般に、既成的問題とは立場を経た問題を意味する。逆に突発的問題とは立場を経ない問題を意味するわけである。
どのような問題も立場に立ち又はやがて立つべきだと前に述べたが、立場を経ない問題という既念は之と矛盾するではないか、と人々は問うかも知れない。併し立場に立つことと立場を経ることとは全く別である。前者は歴史的規定とは無関係に、理論的整合に立脚することであり、之に反して後者は、歴史的経過を意味する。立場――理論的整合――は超歴史的であるが、問題――それは一般に立場を動機づける歴史的動機であった――が歴史的にこの超歴史的なる立場を経、又は経ない、というのが今の場合の区別であった。