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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

個別化の原理に於て、個物(個性)は他との限界を持つものとしてまずあり、そして窮極に於ては原子としてある。

性格の概念は然るに、個別化原理とは独立な成立を有っている処にその特色を示している。今それを明らかにしよう。

二つの事物の限界が与えられない時に於ても、二つの事物の性格は夫々明らかであることが出来る。植物と動物との限界は決して正確に与えられ得ないにも拘らず、即ち両者を区別するに充分な徴標が見出し難いにも拘らず、それを理由にして動物と植物との夫々の特色が不明であると云うならば、それは少なくとも常識の忠実な告白ではないであろう。吾々は事実、両者の性格を夫々――常識的に*――知っており、又その限り両者の区別を、云うならば概略に於て知っているのであって、日常生活にとってはこの概略さで充分であり、又この概略さに止まらなければ日常生活は支えられないであろう。ただこのように概略に於て性格を理解することによっては、動物と植物との限界が少しも与えられないというまでである(実は与えられる必要がないのである)。動物と植物との関係に於てはそれにしても一旦限界が問題となることが出来たが、之と異って全く限界が問題となることの出来ない場合に於ても亦性格は明らかにされ得るであろう。