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イデオロギーのろんりがく

イデオロギーの論理学

戸坂 潤

「性格」概念の理論的使命「新興科学の旗のもとに 一巻二号」1928(昭和3)年10月<br>「問題」に関する理論「哲学研究 一五七号」1929(昭和4)年2月<br>論理の政治的性格「思想 九〇号」1929(昭和4)年8月<br>科学の歴史的社会的制約「東洋学芸雑誌 四六巻一号」1929(昭和4)年12月<br>科学の大衆性「思想 九六号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,463 字 · 229 页

青空文庫

歴史社会的事実とは、個人的当為の内容の外ではなく、又個人的当為とは歴史社会的事実を基本としてのその個人的な解釈に外ならない。何となれば歴史社会的事実とは特有な意味に於ける道徳的事実――fait moral――なのであるから。そこで個人を優越する限り客観的と考えられるこの歴史的社会の事実に於ては、この特有な意味で道徳的な――個々の主観的な個人倫理的道徳の当為からは独立でありそして物理的なるものに対する処の――道徳的事実(fait moral)に於ては、事実上(但しこの事実が今の意味での道徳的事実である事を忘れてはならぬ)人々はただ解決し得る問題をしか提出し得ないのである。歴史社会的事実――特有なる意味で道徳的なる道徳的事実――に於ては、事実上、解決し得る客観的条件を具えた問題のみが常に選ばれるのである。この意味に於て、事実上、性格的な――歴史的使命を持った――問題のみが選ばれるのである。選ばれると云うのであって、選ばれねばならないというのではまだ必ずしもない。――処が、特有な意味での道徳的事実としての歴史社会的事実は、個人的当為の内容であり基体であった。