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「プラーゲせんぷう」のはなし

「プラーゲ旋風」の話

山下 博章

「法律新聞 第四一四五、四一四六号」1937(昭和12)年7月3日、5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,943 字 · 14 页

青空文庫

と主張することが許されない位のことは、判例とか法律とかを持出さなくとも、常識で判断の出来ることである。

他人の著作権を侵害して損害賠償の請求を受けた場合に、侵害者が著作権者に対して、著作権の譲受に関し登録のなかったことを理由として、損害賠償金の支払を拒絶し得るものだと仮定すれば、果して如何なる結果になるであろう。原著者から賠償を請求すれば、「お前の権利は既に他人に譲渡したのであるから、其の譲受人からの請求があれば格別、お前に支払うべきでない」と支払を拒絶するに相違ない。譲受人が其の後になって登録をしても、登録以前に於ける損害は賠償せぬと云うことになり、結局登録のない場合には、権利侵害は御勝手次第になって、悪人に凱歌が挙がろう。

然るに我が勇敢なる東京区裁判所判事は、右の如き大審院の判例と云うよりも一般取引上の常識を無視し、著作権につき登録がしてないから、侵害(偽作)につき告訴しても駄目だとの判決を言渡した。判事は裁判に関しては何人からも制肘されることなく、不羈独立の地位を有しているのだから、大審院の判例だからと云って、必ずしも之に盲従すべき義務はない。