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おもいで

ロッパの悲食記

古川 緑波

古川緑波『ロッパの悲食記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:想い出、ああ東京は食い倒れ、浅草を食べる、色町洋食、うどんのお化け、甘話休題、牛鍋からすき焼へ、下司味礼賛、神戸、氷屋ぞめき、このたび大阪、清涼飲料、食べたり君よ、駄パンその他、八の字づくし、富士屋ホテル。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,651 字 · 114 页

青空文庫

と聞いてみた。

こういう風にして、からめ手から、段々と攻めて行こうという腹なんだ。

ボーイは、こっちに、そんな企みがあるとは知らない。

「インドの方が一番よく召し上るようでございますな。フランスなんかも割合に、大食の方が多いようで――」

なんて答えた。

「フーム、日本人は何うだい?」

「日本人でも、随分召し上る方が、ございます」

「でも、このメニュウを、上から下まで、全部食った、なんて人は、日本人には居ないだろうね?」

「いえ、それが、ございます。何とか会社の社長さんの坊ちゃんで、ラグビーの選手でいらっしゃいますが、その坊ちゃんが、メニュウ全部召し上がりましたよ」

「ホホウ、そうかね。それじゃあ一つ、俺もやってみようか」

「ハ?」

「いや、その坊ちゃんみたいに、俺も、全部食ってみようか」

「ハア」

ボーイは、呆れたような顔をしたが、次の瞬間には、面白くなったらしい。

「では、早速お持ち致しましょう」

と、勇んで、一旦テーブルを去った。

で、これから、先ず、オードヴルから、スープは、コンソメ、ポタアジュの二つを平げ、順々に十数種を食うことになるのである。

然し、何うです、僕の、話の持ちかけ方ってものは、うまいもんでしょう?