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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
古川緑波『ロッパの悲食記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:想い出、ああ東京は食い倒れ、浅草を食べる、色町洋食、うどんのお化け、甘話休題、牛鍋からすき焼へ、下司味礼賛、神戸、氷屋ぞめき、このたび大阪、清涼飲料、食べたり君よ、駄パンその他、八の字づくし、富士屋ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,651 字 · 114 页
味には、ひどく癖があって、一寸こう膠みたいなにおいがする―兎に角、薬臭いんだ。だから、いまのコーラとは、殆んど別な飲みものだと言っていい。コカコラの中に、コカインが入っていたってのは、その頃の奴じゃないだろうか。いまのには、そんなものが入っているような気がしないし、第一、うまくない。
尤も、終戦直後、GIたちの、おこぼれを頂戴して飲んだ頃は、うまいなあと思った。僕は、併し、ペプシコーラの方が好きだったが。
春山行夫氏が東京新聞に書かれた「コカコーラの不思議」の中に、
……コカコーラは消防自動車のような赤いポスターや看板を出すので、美術の国イタリアは、その点を嫌がっている。……
とある。
全く、コカコラの赤は、あくどい。
コカコラばっかりじゃあない。アメリカは赤が一番嫌いな筈だのに、宣伝や装飾には、ドキツイ赤を平気で使う。赤や黄色、青の原色そのままが多い。
これは然し、僕の観察によると、戦争前は、アメリカ自身も、もう少し好みがよかったと思うんだが如何だろう。
例えば、タバコの Lucky Strike だ。白地に、まっ赤な丸(日の丸ですな)のデザインでしょう、今は? ところが、戦争前は、白地のところが、ダークグリーンの、落ち着いた色だった。