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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
古川緑波『ロッパの悲食記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:想い出、ああ東京は食い倒れ、浅草を食べる、色町洋食、うどんのお化け、甘話休題、牛鍋からすき焼へ、下司味礼賛、神戸、氷屋ぞめき、このたび大阪、清涼飲料、食べたり君よ、駄パンその他、八の字づくし、富士屋ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,651 字 · 114 页
の中に、
……凝ったフランス料理は、いくら美味でも毎日食べたら胃袋も財布も堪らない。こういう食事をした晩は何もしないで体を休め、翌日は断食、三日目に僅かな粗食と果物類を主にとり、四日目に再び美食に向って突進するに限る。さもなければ我々菜食人種は病気になる事受合だ。……
とあったことだ。
僕は、これを読んだ時、ああ福島慶子さんは偉い、流石は武士の心がけ! と感心したので、ノートして置いたのである。まことに、此の中の「翌日は断食」というところでは、感動した。
この心がけがなくては、食通とは言えない。食物を愛する者とは言えないと思う。胃袋のコンディションのよくない時に、何を食ったって、第一、味が判りはしない。「腹の減った時に不味いものはない」とは永遠の真理である。
Hunger is the best Sauce.
という表現も、同じことを訓えている。
そういう受け入れ態勢を、自分で用意することは、料理人に対する礼であろう。料理人も亦、芸術家なのだから、芸術家に対するエチケットを心得るべきである。
そして、福島慶子さんは、言うのである。
「四日目に再び美食に向って突進するに限る」