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ロマンスとえんだん

ロマンスと縁談

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,722 字 · 28 页

青空文庫

「大切のところだから繰り返したんだ。僕は実は君と同感で、仲人という形式を愚なものと思っていたんだ。しかし実際を踏んで考えて見ると、これは矢っ張り必要が生んだ母だと思うんだ」

「それも変だよ」

と僕は又挙げ足を取ってやった。

「間違った。必要という母が生んだ大発明だと訂正する。考えて見給え。そう/\皆がロマンスで行けるか? 忙しいんだ。仕事があるんだ。ロマンスの相手を探してばかりはいられない」

「心掛けている中に行き当るんだよ」

「ナカ/\行き当らないんだ。同僚の面々を見ても分っている。十中九まで仲人結婚だろう。それが自然の数だ。君、譬えで行こう。仮りにこゝに鰻を食べたい人があっても、仕事が忙しいから、川へ鰻を釣りに行っていられない。そこで必要が鰻屋ってものを発明したんだ。これは君も認めるだろう?」

「認める」

「鰻も天然鰻は釣り切れない。鰻屋が釣るんじゃないけれど、釣る人間がそう/\は釣り切れない。そこで必要が養鰻を発明してくれたんだ。種々と改良を施した結果、今日の養鰻は天然鰻に劣らない。仲人結婚もそうさ。昔とは違う。僕達はもう仲人をおっぽり出してしまったぜ。