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ロマンスとえんだん

ロマンスと縁談

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,722 字 · 28 页

青空文庫

堪忍して上げますから、以来お慎み下さい』と来た。態はない」

「ハッハヽヽ。簡単にやられたんだね。そうか? 君が黙っている筈はないとも思って見たんだが、そうか? 矢っ張り」

「君、これは郁子に話しちゃ困るよ。大変なことになる」

「大丈夫だ」

「絶対秘密だ。君子さんが誰にも言わなかったことは、佐藤氏が僕の人格を保証して仲人をしてくれたのでも分る。僕も今君に話した丈けだから、郁子にも誰にも絶対秘密にして置いてくれ給え」

と宮下君は尚も念を入れた。

「決してしゃべらない。それはそうとして僕は見込がないのか?」

「実はそういう訳だから、君が君子さんを貰うと僕が困るんだ。甚だ具合が悪い」

「それは話の筋が違うよ。僕が秘密を守っていれば、差支えないじゃないか?」

「しかし僕は君と附き合いにくゝなる。何しろ肘鉄を食っているんだから、君子さんは苦手だ。その苦手が君の奥さんになったんじゃ困る。その辺をよく良心的に考えて、僕は君と君子さんの間に話が始まらないように警戒しているんだ」

「ひどいよ、それは」

と僕は呆れたが、だましすかして、兎に角機会を見て話を持ち出すように悃願した。

それから一月ばかりたった。