轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
紋三の腕を握っている明智の手がピクピク動いた。
行李がのけられた。その向うから和尚の坊主頭がバアと覗いた。二三尺の距離で八つの目がぶっつかった。
「ワッ」
という様な音だった。四人が同時に何事かを叫んだのだ。
和尚はいきなり奥の四畳半の方へ逃げた。明智が行李を蹴散らして追いすがった。四畳半の窓を開けると物干場がある。階下に見張りがあるため逃げ場は屋根の外にないのだ。畸形児は素早く窓の外に出ると、物干場の手すりを足つぎにして、二階の屋根に攀上った。一足おくれた明智は、屋根からぶら下っている相手の足をつかんだ。だが、その足は暫くもみ合っている内にすっぽりと抜けて明智の手に残った。白い靴下で覆われた人形の足の様なものだった。
猿の様に木登りのうまい畸形児にとっては、屋根の上こそ屈竟の逃げ場所だ。彼は僧形の白衣の裾を飜して急勾配の屋根をはった。
「小林君、そこの窓から刑事を呼んでくれ給え」
いい残して明智も屋上に這上った。長い棟の上を、夕暗の空を背景にして、畸形児の白衣と明智の黒い支那服とがもつれ合って走った。
屋根が尽きると、畸形児は電柱や塀を足場にして次の屋根へと移った。