轻松读懂日语经典作品
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いっすんぼうし
一寸法師
江戸川 乱歩
「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页
夜中にそっと忍んで来て、人形に話をしたり、ふざけたりしている男もあった。今のお梅さんも、あんなに美人なのだから、ひょっとしたらだれかが恋をしていたかも知れないのだ。
そんなうわさ話が生れる程あって、この人形共は何だか死物とは思えないのだった。昼間はそ知らぬ振をして、作り物の様な顔ですましていて、夜になるとムクムクと動き出すのではないかと疑われた。事実夜の見廻りの時に、人形のすぐ前に立って、じっとその顔を見つめていると、突然ニコニコと笑い出し相な気がされた。
今番頭達の行手には、その三つの人形が、遠くの電燈の朧な光を受けて、真黒く見えていた。
「ちょっと、ちょっと、いつの間に、あんな子供の人形を置いたのです。ちっとも知らなかった」
少年店員がふと立止って、番頭の袖を引いた。
「エ、子供の人形だって、そんなものありゃしないよ」
若い番頭は怒った様な調子で、小僧の言葉を打消した。彼は怖がっているのだ。
「だって、御覧なさい。ホラ、お松さんとお竹さんが、子供の手を引いているじゃありませんか」
小僧はそういって、人形の方へ懐中電燈をさし向けた。遠いためにはっきりとは見えないけれど、そこには、お梅人形のかげになって、確に一人の子供が立っていた。