轻松读懂日语经典作品
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なのかななよ
七日七夜
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1951(昭和26)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,818 字 · 36 页
どこかで廊下を歩く草履の音がし、もっと遠くで犬の吠えるのが聞える。近くの部屋で客と女の話し声もするが、それは寝しずまった静かさをいっそう際立てるように思えた。
喉が焼けるようだったが、水はもう無かった。それにひどい空腹である、考えてみると、朝から一度も食事をしていない、酒の肴くらいは摘んだが、腹に溜るような物は喰べていなかった。
「ともかく、こうしていても……」
彼は立って廊下へ出た。まだ酔ってはいるがひどい寒さである。手洗い場を捜すのにかなりうろうろし、すっかり冷えこんだのだろう、戻りには頻りにくしゃみが出た。ところで弱ったことにこんどは部屋がわからない、廊下を曲るところは慥かなのだが、並んでいる部屋のみつきはみな一律で、これが自分のだという見当がつかなくなった。寒さは寒し、腹は減るし、喉は渇くし、そんな寝衣ひとつで、震えながら廊下に立っている自分に気づくと、昌平は情けないほど悲しくやるせない気持になった。
ほどなく向うから五十ばかりの婆さんが来たので、呼び止めて事情を話した。
「まあいやだ、おいらんはどなた」
婆さんは冷淡にじろじろ見た。どうも座敷で見覚えのある顔だが、紙ばなを遣ったような記憶もあるのだが、相手はぜんぜん知らないふうで、応対もいやにつっけんどんだった。