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さんにんきょうだい
三人兄弟
菊池 寛
「赤い鳥」赤い鳥社、1919(大正8)年4月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,630 字 · 22 页
その上、秋の初から、私も重い病気になりました。私には、子供と言ってはこの娘がたった一人なのです。私は私がこの病気で死んだら、娘が一人ぼっちになって、さぞ困るだろうと思いましたので、私の生きているうちに、是非よい婿を取ってやろうと思って、都の内を探しにかかりました。
すると、どうでしょう。年頃の若者のある家では、どの家でも、幾らお金があっても、加茂の長者の家へは婿にはやれない。鬼の家へ婿にはやれないと、誰一人婿に来ようという人はないのです。私は、お金があれば何でも出来ると思っていましたが、それは、私の大きな誤でした。私は、たった一人の娘に婿を取ってやることさえ出来ないのでした。娘はそれを知ると、毎日泣きました。私も娘が可愛そうで泣きました。十万貫という大金も、今では何の役にも立たないのです。
その内、私の病が重ってもう今日死ぬか明日死ぬか分らない命なのです。私が死んだら、娘はたった一人世の中に取り残されて、憎まれ者の子として、世間からどんなにいじめられるだろうかと思いますと、私は死ぬにも死なれないのです。
私は、とうとうこう考えました。都の人はみんな加茂の長者を憎んでいるから、とても婿に来手はあるまいが、旅の人なら私を憎む訳はないのだから、来てくれるかも知れないと、思いましたから、私は召使いの者を街道へ出し