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さんにんきょうだい
三人兄弟
菊池 寛
「赤い鳥」赤い鳥社、1919(大正8)年4月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,630 字 · 22 页
て、旅の方に来ていただくことにしたのです。運よく、あなたのような立派な方に来ていただくことが出来て、こんな嬉しいことはありません。親子二人を助けると思って、どうか私のお願いを聞いて下さいませんか。」と言うかと思うと、病人はさもさも疲れたように、グッタリと俯伏してしまいました。
三郎次は、初めて年寄の願の訳が分りました。が、どんなにお金があっても、都中の人から鬼のように憎まれておる家の婿になっては、どんなひどい目に逢うかも知れぬと思いましたので、一度は断ろうと思いました。
が、よく見ると、病人も可愛そうな娘も、シクシク泣いていてもし三郎次が断ったら、病人は悲しみの余り、そのまま息が絶えはせぬかと思われましたから、根が気の優しい三郎次は、
「そんなに、お頼みなら、いかにもこの家の婿になりましょう。」と申しました。すると、病人は手を合わして、三郎次の方を拝むように見えましたが、それで安心して気が緩んだと見え、そのまま息が絶えました。
三郎次は悲しみに暮れている娘を慰めて、お葬いを出した後で、その娘をお嫁にしまして、二代目の加茂の長者になりました。そして、身代の十万貫の半分の五万貫を、都中の貧乏人に分けてやりました。