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よのなかへでるこどもたち
世の中へ出る子供たち
小川 未明
「婦人朝日」1939(昭和14)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,905 字 · 8 页
会計は、少女の持ってきた伝票を見て、正吉が、払ったのであります。
道順で、高橋が先に二人と別れました。
「出発の日には、送るからね。」
「会社が、忙しいなら、いいよ。」
「なに、どうか都合するさ。」
あとは、小原と正吉の二人が、星晴れのした空を、公園の方に向かって歩いていたのです。
「今夜は、ご馳走になって、すまなかった。」と、小原がいいました。
「なんでもないよ。今度の日曜に、動物園でもいってみない?」と、正吉が、いうと、
「お天気だったらね。」と、小原は、喜びました。そして、赤いネオンサインの方を見ながら、
「四月になったら、また学校へ上がるつもりだ。」と、このごろ、体がよくなったので、小原は、元気にいいました。
「学校なんか、すこしくらいおくれたっていいよ、なるたけ大事にしたまえ。」
二人は、四つ辻のところで、また別れたのです。先刻から、正吉の頭の中で、もやもやしていたものがあります。それは、レストランの計算が、ちがっているような気がしたのでした。なんだかすこし安すぎるので、正直な彼は、そのままにしておけない気がして、公園のベンチのところでポケットから、手帳と鉛筆を取り出して計算をはじめました。