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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页

青空文庫

摂氏一度というと、わずかな量と思われるかもしれないが、一年を通じての平均気温が、これだけ上昇することは、そうとうな大問題である。

ここで問題は二つにわかれる。地球上の気温は、過去においても、週期的に変化している。いわゆる氷河期が、何回もくり返して襲来してきたのは、このためである。しかしそういう大変動のほかに、もっと週期の短い、そして変化量の少ない変動もあった。たとえば数百年程度の週期で、気温が少しあがったり、さがったりするという変化である。ところで、今世紀にはいってからの気温上昇が、この変化の波の一部であれば、なにも問題は起らない。もう半世紀も待っていれば、また寒い時期がやってくるであろう。

ところが、少し杞憂かもしれないが、別のことも考えられる。それは現在の気温上昇が、人為的なことに起因するのではないかという点である。今世紀にはいってからの物質文明の進歩は、まさに異常であって、燃料の消費はおびただしい量にのぼっている。ロスアンゼルスの市だけでも、一日に、百万ガロンのガソリンを燃している。世界中の石炭と石油の消費量は、おびただしい額である。燃焼には、必ず炭酸ガスの発生を伴う。