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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
たのだけれど。
いま。
隻眼隻腕の丹下左膳、右頬の刀痕を皮肉な笑みにゆがめて――雲竜二剣のために、お藤はもとより、最初乾雲丸といっしょにわが手に入れたはずの弥生への横恋慕をも、スッパリと断ちきるという。
それに応じて源十郎は。
しからば自分はお艶を思いきって、ともどもに夜泣きの刀へ全力を傾注しよう! こう力づよく言下にいい放ったものの。
言葉はことば。
胸底はこころ。
お藤のことはとにかく、左膳、よく弥生を諦め、また源十郎がお艶を忘れ得るであろうか……?
この相互の疑惑にとっさに打たれた両人、思わず相手を見定めんと、鋭い眼光をはたとカチ合わせた時に、源十郎は左膳の独眼のなかに弥生を、左膳は、源十郎の顔のうえにハッキリとお艶をみとめたが、上をいって急ににっこりした源十郎、
「いや、今までのところはわしがあやまる。重々悪かった――お艶にのみ気を取られて、貴公はさぞかし腑甲斐ないやつと思ったことであろうが、今後は源十郎、貴公の右腕ともなって……」
「あははは、左腕のおれに右腕とは、源十、なかなかもって味をいうわい」
「いや、それは物の比喩で、わるくとって気にしては困る」