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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页
内容はつぎつぎと変って行くが、容器は変らないのである。そういう透徹した眼で、深く科学の本質を見極めた哲学的な思索が、見方によっては人間の思索の一つの現われであるともいえる物理学に、役に立たないわけはない。この書の中にもその良い例が見られるのであって、現代の量子力学における電子の概念の示唆が、立派にこの本の中に書き残されているように私には思われる。
先生がこの草稿を書かれたのは、一九二〇年から二五年くらいまでの間と推定される。その時代は、ちょうど現代の量子力学の基礎をなすところのド・ブロイやシュレーディンガーなどの論文がぼつぼつ出はじめる直前のころであった。前期の電子論が発達の極に達し、その大きさ、剛性、荷電の分布などと、議論は尽きるところを知らず、煩瑣哲学の趣きがありありと物理学の上に現われて来ていた。ちょうどそのころに先生は、第二編第三章の『実在』の章に見られるような哲学史的考察を物理学の上に施して「著者は過去の歴史に徴しまた現在の物理学を詮議して見た時に、少くも今のままの姿でそれ(物理学の進歩の径路)が必然だという証明は存しないと思うものである。