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ふたつのじょぶん
二つの
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页
雨戸も硝子の内側に入れるのであるから、木である必要はないので、紙の襖で十分である。というよりも、襖の方が防寒には、数等上等である。防寒防音用の建具としては、襖は世界的にみても、非常にすぐれたものではなかろうかと思われる。紙が防寒防音用に好適であるばかりでなく、間に空気層が適当な厚みではいっていて、桟で空気の対流を防いでいるところなど、正に理想的なものである。それに軽くていい。実際には、強度のことも考える必要があったので、外側をベニヤ板、内側を紙布にした襖を作ってみたが、これはたいへん具合がよくて、もう十年近く経っているが、何ともない。まず人間の一生は使えそうである。
この家の成功した点は、こういう風にして、熱の逸散を防いだことの外に、ペーチカで四室、すなわち全一家を一様にあたためた点にあった。熱の逸散さえちょっと注意すれば、一冬に二トン半の石炭で十分間に合った。ペーチカは北海道にも前からところどころにあったのであるが、どうも寒いとか、石炭を七八トンも喰うとか、評判はあまりよくなかったものである。しかしこの家では、風呂用を入れて、三トンでちょうどいいことが分った。