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ふたつのじょぶん

二つの

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『二つの』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二つの序文、『団栗』のことなど、詩人への註文、樹氷の科学、救われた稀本、大雪山二題、小さい機縁、天地創造の話、農業物理学夜話、防寒戸、雪は資源である、アメリカの沙漠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 115,903 字 · 236 页

青空文庫

(b)の場合は全然捉えられないから零である。そして天然に実際に着氷が起きる場合は、一と零との中間の値、例えば〇・二とか〇・六とかいう値となる。その数値は霧粒の大きさ、風速、物体の大きさによってきまる。

捕捉率の理論的研究も、各国の学者たちによって前からなされていた。日本では中央気象台の今井一郎氏によって、その計算がなされている。やり方は流体力学的な計算をするのであるが、その結果次のようなことが知られた。すなわち捕捉率は、風速が増すとだんだん大きくなり、霧粒の大きさがちがえばもちろんかわる。更に大切なことは、柱が太くなると捕捉率が小さくなるのである。

今井氏の計算の一例をあげよう。霧粒の直径が百分の一ミリで、風速が毎秒三〇メートルの時に、飛行機の翼くらいの大きさのものに対して計算してみると、捕捉率は大体〇・一という値が出る。すなわち翼の前面にある霧粒のうちの約一割くらいのものが、翼に衝突して着氷となるのである。

ところが同じ気象条件、霧粒直径百分の一ミリ風速毎秒三〇メートルの時、もっと小さい物体では、捕捉率がずっと大きくなる。例えば電線くらいの細いものになると、捕捉率は約〇・九となる。