轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びぜんめいきゅうでん

備前名弓伝

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1946(昭和21)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,649 字 · 50 页

青空文庫

四

「いかがでござる」光政は得意満面である。

「すさまじきみもの、まことに古今稀なるみものであった」安芸守も心から感服して、「あれだけの狼をただ一矢で仕止めるというは並々ならぬ名手、しかも命矢を持たなかった自信のほども驚き入る。盃を遣わしたいがお呼びくださらぬか」「では席を替えて一盞仕ろう」それから御殿へ移って酒宴が開かれ、三之丞は御前に召されて、安芸守から賞美された上、引出物を賜わり、まことに上々の首尾で下城した。

光政の感動は大きかった。日頃の様子は平々凡々ごくあたりまえな勤めぶりだし、それだけの腕があるなどということは気ぶりにも示さず、競べ矢をすればいつも中どころを射て知らん顔をしている。……こういう事にぶつからなければ生涯そのまま人に知られずに終ってしまうかも知れないのだ。しかも平然とおのれの真価を隠している心の堅固さ、大丈夫とはこういう人物を云うのであろうと、光政はあらためて三之丞を奥ゆかしい者に思い直した。

四

しかしそれよりも喜んだのは三左衛門である。愚図だの煮え切らぬのと怒鳴りつけてばかりいた三之丞が、岡山一藩の名誉を賭けて、しかも立派に役目を果したのだから、驚きも大きかったし喜びも一倍だった。