轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しょや

初夜

山本 周五郎

「週刊朝日春季増刊号」朝日新聞社、1954(昭和29)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,384 字 · 35 页

青空文庫

……殿中はひっそりしていた。出来事の重大さと、どうなるかわからない不安のために、あらゆるものが息をころしている、といったような静寂さであった。役部屋には誰もいなかった。代二郎は支度を直して、老職の詰所を覗いたうえ、そこにも誰もいないのを見て広敷へいった。広敷には坊主や近習番たちが集まって、みんな顔色を変え、うろうろと立ったり坐ったりしていた。彼は取次を待つまでもないと思い、そのまま長廊下を奥へいった。すると黒書院から染谷靱負の出て来るのが見えた。染谷は年寄肝煎で、右京亮の与党に数えられている。代二郎は靱負をやり過しておいて、すばやく黒書院へ入った。

右京亮は上段で叫んでいた。彼は二十七歳になる。痩せた肉の薄い躯つきで、おもながな顔に尖った高い鼻と、両方から迫った濃い眉毛と、するどく光る大きな眼とが、いかにも癇癖の強い性格をあらわしている。いまその顔は怒りのために歪み、双眸は殆んど逆上の色を帯びていた。

「ここでは余の意志はとおらないのか」と右京亮は叫んでいた、「――あのしれ者は小森を斬り落合を傷つけたうえに、徒党を集めて己れの屋敷にたてこもったというではないか、これは謀反だ、明らかに叛逆だぞ」