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きたのしょうじょ
北の少女
小川 未明
「童話文学」1928(昭和3)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,032 字 · 6 页
けれど、文字を知らないということが、なんで、彼女をばかにする理由となろう?
「東京は、広い?」
「いくら、広くても、電車や、自動車に乗れば、端から端まで、ぞうさなくいけるのだよ。」
「なんにも乗らんけりゃ、みんな歩くのに、幾日かかるか?」
「そんなこと、僕にもわかるもんか。」
二人は、こんなことを話していました。そのうちに、日は、海のかなたへ沈んでゆきました。波の上は、美しく彩られたのです。それは、ちょうど花びらを空へふりまいたように見られたのでした。
少年が、いよいよ帰る日に、少女は、海岸を歩いて、ほんとうに、美しい、めずらしいいろいろの形の、また色をした貝がらを拾い集めてきて、東京への土産にするようにくれました。貝の種類のいたって少ない北海には、こんな貝がらは、珍しいものかしれないけれど、波の穏やかな南の海岸には、もっときれいな貝がらが少なくなかったのでした。しかし、この貧しい、哀れな少女の志は、どんな貴い真珠も、さんごもおよばなかったでありましょう。少年は、厚く礼をいって、喜んで持って帰ることにいたしました。
半年は、過ぎ、一年は、たちました。また来年こそは、もう一度北の海岸へゆこうなどと思ったのも、そのときになると家庭に用事ができたり、もしくは、ほかへゆくようなことになって、少年は、ただはるかに、北海の