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なんがさんだい

南画三題

中谷 宇吉郎

白端溪硯「東京新聞」1956(昭和31)年6月23日<br>墨と硯と雪と「週刊サンケイ 1巻12号」サンケイ出版、1952(昭和27)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,372 字 · 11 页

青空文庫

講演に行ったときに、これを見せられて、ひどく気に入ってしまった。よほど欲しそうな顔をしていたものとみえて、帰ってから、主催者の人が、この埴輪の馬を送ってくれた。荷造りはよく注意してあったが、それでも途中で、こわれて来た。しかし埴輪は必ずこわれて出るものであるから、ちっともかまわない。糊でついだら、ますます本物らしくなった。

それで早速この絵を描いて、後漢書の文句を入れて、お礼に送っておいた。そして「もし人形の埴輪の絵が欲しかったら、人形のを送って下さい。多分こわれるだろうが、それはこっちでつぐから、ちっともかまわない」と書いた手紙を出しておいた。

宮崎の埴輪の絵

これは埴輪が如何に気に入ったか、ということを示す表現であった。それ切り忘れていたところが、二、三カ月経って、宮崎県庁の人が、大きい箱をもって、玄関へやって来られた。「御註文の人形の埴輪をもって来ました」という口上である。こわれるといけないので、上京の機会があるまで待っていた、という話なので、大いに恐縮した。琴を弾いている埴輪で、国宝第一級の逸品である。

心臓は強い方であるが、この時ばかりは、全く恐れ入ってしまった。