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なんがさんだい

南画三題

中谷 宇吉郎

白端溪硯「東京新聞」1956(昭和31)年6月23日<br>墨と硯と雪と「週刊サンケイ 1巻12号」サンケイ出版、1952(昭和27)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,372 字 · 11 页

青空文庫

埴輪の絵

中世の物理の教科書の南画

一つ厄介なことは、うまい種がそう見付からない点であるが、こういう絵は案外応用がきくという利点もある。例えば化学の人にやる場合は、感応起電機の代りに、分析装置の絵を入れる。私の南画の第二の高弟黒須巳之吉博士に呈上する時などは、其処へ耳鼻手術用の道具を描く。グラフのところへは、簡単な耳の解剖図でも入れておく。横文字のところは、何にでも通用する。それで、耳鼻咽喉科の原書の南画という、世界に一つしかない作品が、簡単に出来上がるわけである。

「比較を絶する作品」をつくるには、誰も描かない絵を描けばよい。基本型が出来たら、あと一部分を直して、たくさんの変化をつくる。こういうところは、科学的な南画というべきであろう。

埴輪の絵

名墨の墨色の研究をしているうちに、自分でも墨絵を描いてみたくなって、こっそり始めたのだが、今から二十年くらい前のことである。

昔、油絵を始めた時に、寺田先生から、「ちっとでも油絵の心得があったら、こうは描くまいと思うような絵で、たいへん面白い」と褒められたことがある。それを思い出して、先生には全然つかずに、勝手に描くことにした。