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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

道夫は、遠走り説をうち消した。

「でも、それはあまりにふしぎ過ぎるからねえ。松の下から垣根へぬけて往来へでれば、往来は土がかたいから、そこにはもう足跡がつかないわけでしょう。だから足跡が松の木の下で消えているように見えるのではないですか」

そういったのは、某省につとめる技術者であった。

「いや、そうではないのです。先生の足跡の最後のものがついている地点から、垣根を越えて往来までの距離は、約十メートルもありますよ。その十メートルの間に、どこにも足跡がついていないんです。すると小父さんのお話が本当だとすると、川北先生はこの十メートルの距離を、一度も地上に足をつかないで飛び越えたことになります。十メートルも跳躍することは人間業じゃできないことだと思います」

道夫少年のこの推理の正しいことが、誰にも了解された。が、そうなると、川北先生の失踪の説明は一層つかなくなる。ただふしぎふしぎというばかりであった。

「われわれの手に負えませんなあ。どうです。やっぱりできるだけ早くその筋へ申告して、警視庁の手で調べて貰うことにしてはどうですか」

「そうだ。そうする外、道がありませんねえ」