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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

願い下げです。全くの話が、こればかりは……」

古島老刑事はひどく尻込をする。蜂矢探偵はにやにや笑ってみている。田山課長の顔がだんだんにがにがしさを増してきた。

「私が命令した以上、ぜいたくをいうことは許されない。ひっくりかえろうと何をしようと幽霊係を命ずる」

「わしの職掌は犯人と取組あいをすることで、幽霊の世話をすることは職掌にないですぞ」

「あってもなくても幽霊係をつとめるんだ。もっとももう一人補助者として金庫番の山形君をつけてやろう」

「課長。よろこんで引受けます」

柔道四段の猛者の山形巡査が、奥の方から手をあげて悦ぶ。古島老刑事は、

「おい山形君。そんなことをいうが、大丈夫かい」

とそっちを睨んだが、係が二人にふえたのにやや気をとりなおしたか、ほっと軽い吐息を一つ。

「じゃあ、これで手筈はきまったですね」

と蜂矢探偵は椅子から立上った。

「それではよろしく用意をととのえておいて頂くとして、僕はいったん引揚げ、夕刻にまたやってきます。それから課長さん。僕がここに持ってきた『幽霊の餌』は大切な品物ですから、盗難にかからないように保管しておいて下さい」

「盗難にかからないようにだって? 冗談じゃないよ、ここは捜査課長室だよ、君……」