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ちはゆたかなり
地は饒なり
宮本 百合子
「中央公論」1918(大正7)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,874 字 · 57 页
ほんとにこれなら、先ず大丈夫と思っていたのでしょう。
国民は、耳をとられるのは厭でも、相手は王様だから仕方がありません。心の中では不平にも思い、神の救いを求めても、王様の口からの命令は、容赦もなくさっさと耳を取ってしまいます。
そして、暮すに都合のいいように、生れたときから与えられていた一つの宝を奪われた上に、戦では、命までも捧げなければならなかった彼等。命をそういう風な形式で捨て、そういう風な敗亡に陥らせるような原因は王様自身が作りながら、皆が弱いとか、意気地がないとか叱られなければならなかった彼等の仲間の一人になって、一生を終ることが出来ましょうか。
自分が、この自分以外の誰でもない私が過す一生の、この大切なこのごろを、ただ彼等の手元にあるときほか責任をもたない人に、一時的な、皮相的な教訓と、非難することは知っていても、ほんとに「その人」を育てることが出来ない人々に、自分の全部をあずけて、安心していられましょうか。
私は、決して、巧くスルリスルリと万事をすりぬけて、楽に「世渡り」をする人間にはなりたくありません。三十年か四十年世の中に揉まれていれば、大抵の者のなれる「世故にたけたお悧巧な方」