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じごくふうけい

地獄風景

江戸川 乱歩

「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页

青空文庫

風体で判断すると、泥棒の木島刑事が逃げ手で、警官姿の治良右衛門が追手としか見えぬのだ。

「さっきの話の続きですがね」

目の廻る様に走りながら、治良右衛門が大声で追手に話しかけた。

「迷路の殺人はまあそう云った訳なのですが、では、最初人見折枝が迷路の中で出逢った小柄の男は一体誰か、とお尋ねなさるでしょう」

刑事は、そんなこと聞きやしないよと、だんまりで、息を切らしながら、一生懸命に追っ駈ている。どうも少からず馬鹿にされている形だ。

「あれは三谷二郎少年だったのですよ。あの子供が迷路の中に遊んでいて、ちま子の死骸を一番早く発見したのです。そして疑われることを恐れて、逃げ隠れなんかしたんです。僕はそれを観覧車の上から、ちゃんと見ていたのですよ」

怒鳴りながら、治良右衛門は、ヒョイト一匹の木馬に飛びまたがった。ハイシイドウドウ、手綱をとりながら、彼は又叫ぶ。

「それから第二回目の殺人で、二郎少年は、こうして木馬にのっている所を、今度は普通の弾丸で撃ち殺されました。無論観覧車の上からです。同時に、僕は風船の繩梯子を弾丸で撃ち切り、折枝を墜落させました。僕は射撃の名人だけれど、まさか初めから繩梯子を狙った訳じゃない。