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じごくふうけい

地獄風景

江戸川 乱歩

「江戸川乱歩全集付録冊子 探偵趣味」平凡社、1931(昭和6)年5月10日~7月10日、9月10日~1932(昭和7)年1月8日、3月10日<br>メリー・ゴー・ラウンド以下「江戸川乱歩全集 第十一巻」平凡社、1932(昭和7)年4月10日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,774 字 · 108 页

青空文庫

どこか外国製の品に相違なかった。

という様なことが分ったばかりで、如何なる名探偵と雖も、園内の夥多の人々の内から、真犯人を探し出すことは、殆ど不可能な仕事であった。

人見折枝は取調べを受けた際、犯人が非常に小柄な男であったことを云おうとして、ハッと口をつぐんだ。園内には目立って小柄な人物が二人ある。一人は十六歳の三谷二郎少年、一人はせむし男の餌差宗助だ。彼女の一言で若しこのどちらかに疑いがかかったらと思うと、迂濶なことは云えなかった。

その日から、園内の人員が一人ふえた。園主喜多川治良右衛門の依頼によって、一人の刑事探偵が、そこに住むことになったからだ。

園の中央に、立派な洋風食堂があって、朝昼は兎に角、晩の食事丈けは、必ず一同が会食することになっていたが、その晩の会食は実に異様な感じのものであった。

一つは主人側、一つは召使側と、二つの長方形の大食卓を囲んで席についた一同は、いつもの様に無駄口を利くでもなく、ひっそりと静まり返って、盗む様にお互の顔を眺め合っていた。

その食卓に、ついさい前ちま子を殺した奴が、何食わぬ顔で列席しているのだ。隣でフォークを嘗めている奴がそうかも知れない。