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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

私の胸は、早鉦のように鳴りだした。

「オルガ姫。一体これは、どういうわけだろうね」

私は、思わず、こんなことを口走った。

オルガ姫は、それに応えなかった。オルガ姫は人造人間だから、わけのわからぬことをたずねても、だめである。人間ならば、意見をいうであろうが、彼女には、それができない。

「弱ったなあ、どうすればいいのだ」

私は、潜水艇の中で、われるような頭を抱えて、呻吟した。

いい考えが浮かばない。不安の影が、ますます濃く、そして大きく拡がっていくのであった。祖国日本が、そのままそっくり、天外にとび去ったのではないかと、妙な錯覚を起したくらいであった。

三十分ばかり、私は、地獄の釜の中で茹でられているような苦しみを経験した。が、その後になって、多少気分がおちついてきたように思った。私はようやく考える力を取戻したのだった。

「そうだ。そのへんに、どこか上陸のできる場所があるはずだ。そこを探して、上へあがってみよう」

私は、オルガ姫に、新しい命令を出した。

「オルガ姫、上陸地点を探して、艇をそこへつけたまえ」

「はい」

艇のエンジンが、再び活溌にうごきだした。姫は、巧みに舵器をあやつって、上陸地点を探しはじめた。