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おおえどおうごんきょう

大江戸黄金狂

野村 胡堂

「新青年」1939(昭和14)年11月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,754 字 · 53 页

青空文庫

「待っておくんなさい、旦那、あっしの首を取って何んの禁呪になるんで、懐には百だってありゃしませんよ」

「望みは金じゃないよ」

「ヘエー」

「先刻手前へ女文字の手紙を渡した小僧は、俺にも一本渡して行ったんだ、――隠すものか、俺はそんな料見の狭い人間じゃねえ、これだよ、ほら」

赤崎才市は、懐から分厚の手紙を一本取出して、何んの蟠りもなく貝六の手にのせてやりました。無意識に開くと、中は六つかしい字で一パイ。

「こいつは読めませんよ旦那、自慢じゃねえが仮名でせえ小僧に読んで貰ったあっしだ」

「そんな事が自慢になるものか」

「読んで下さいよ旦那」

「読んでやっても宜いが、今日、たった今から、お前は俺の仲間になるか」

「ヘエー」

「驚くな貝六、――仔細あって俺は、この機関の裏を知って居るが、こいつは七万両という大金の仕事だぞ」

「七万両――、待っておくんなさい旦那、七万両というと、一体どれ位の金で?」

「一両小判が七万枚だ、――そいつを一人占めにする手段も知って居るが、向うに廻る人間が恐ろしく手剛い、貝六風情に七万両山分けでは少し甘過ぎるが、猫の子の手でも助太刀に欲しい時だ、どうだい俺の仲間になって、大山を張る気はないか」