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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
手にとって、缶の胴に印刷されてある文字をひろい読んでみると、それはどうやら高級の油が入っていたものらしく、缶の製造国は日本ではなくて、アメリカであると知れた。缶は、なにか入っているのか、たいへん軽かった。そして缶を横にすると、中でことんことんと音がするものがあった。太刀川はその缶に、たいへん興味をひかれたが、さて何のことだかさっぱり見当がつかない。
その様子をみていた原大佐は、太い指をだして缶の蓋をさし、
「かまわないから、その缶をあけてみたまえ。そして中にあるものをよくしらべてみたまえ」
「あけていいのですね」
太刀川は、お許しがでたので、さてなにが出てくるかと、たいへんたのしみにしながら、缶の蓋を力まかせにこじあけた。
蓋は、あいた。
中をのぞくと、白い紙片を折りたたんだものがでてきた。それをつまみだすと、まだ缶の中に入っているものがある。缶をさかさまにすると、ごとんと掌のうえにころがり出たものは、ずっしり重い鉄片であった。その大きさは一銭銅貨ぐらいだが、厚さはずっと厚く、そして形はたいへんいびつで、砲弾の破片のようにおもわれた。しかもこの鉄片は、鉄のような色をしていないで、なにか赤黒いねばねばしたものに蔽われていた。