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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

(「王道」から)

*

細君に、朝野というのがもとよく来ていたそうですねと何気なく言うと、――朝野はお好み焼の勘定をシコタマ溜めて、逃げ回って払わない由を聞かされる。「なんでも、人の話じゃ、ひどいバイ毒で、頭に来ているという人もありますよ」細君がにくにくしげに言った。

末弘春吉が、アトラクションがうまく行かないので、漫才に転向しようと思っていると言った。

夜、甘ったるい通俗小説を書く。大森へ帰る。

(注一)

私がひとりで「王道」を読んでいるところへ、末弘春吉が、アトラクションの交渉に諸所を駆け回ったのだろう、いかにも疲れた蒼い顔をして帰ってきた。

「どうだった? 春さん」と台所から細君。

「――あかんわ」と彼。

背骨が蒟蒻かなんかに化したかと思われるみたいに、ぐったりと鉄板の前に坐るのだったが、声は至って剽軽な朗らかさだった。性質なのだろうか、習慣なのだろうか、いや性質と習慣を分けることはできないだろうが、明らかな疲憊とその陽気さとのギャップはいささか異様でいたましかった。

(だが、これは私が、浅草に巣食うこうした芸人たちのいわば雑草のような根強さ逞しさを知らなかったせいだった。