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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

(注六)

国際通りで末弘春吉に会うと、亀家ぽんたんに会いに、E館へ行くところだと言う。

「着々、漫才に転向中ですわ」

末弘は、身体にてんで合わない変に短いオーバーを窮屈そうに着ていた。

「何か、いい芸名ないでしょうか」

「さあ」

「ひとつ考えて下さいな。何か時局風なのを……」

「時局風……」

「ええ、この間こういうのを聞いたんですがね。――国を護る。それを二つに分けて、クニヲにマモル。うめえ名前を付けやがったと感心したですがね。これも、ついこの間役者から漫才さんに転向した口で……」

私はE館へ行ってみようと一緒に歩き出した。

「そうそう、ミーちゃんが『惚太郎』に来てて、あんたが見えないだろうかと言ってましたよ」

「何か用事……」

「別に用事ッてないようでしたがね」

「あとで行ってみましょう」

E館へ行くと、亀家ぽんたんはちょうど舞台だと言う。末弘は裏へ、私は客席へ入った。

その小屋は、舞台から客の顔が隅から隅まで明瞭に見分けられる狭さのところへもってきて、私は背が高い上にその時高下駄をはいていたので、立っている客の頭の上にヌッと顔が飛び出してしまう始末で、――なかへ入った瞬間、舞台のぽんたんと私と、バッタリ眼が合った。